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戦は数 そして政治と兵站 面白かった戦記Web小説9選

9作品にゃんたコメント 0
  1. 1

    ゴルダナ帝国衰亡記 ~ハーレムはあきらめてください~

    カクヨム

    かなり人を選ぶ作品です。作者の趣味が全開になったインモラルな部分については、正直「そこまでやらなくても話は十分成立するだろ」と思うこともあります。 それでも一位。 この作品で特に好きなのは、戦争が戦場だけで完結しないところです。宗教、民族、貴族同士の利害、軍事、政治、個人の思惑がそれぞれ勝手に動き、その噛み合わせの結果として戦争まで動いていく。主人公が正しい判断をしたから世界が都合よくついてくる、という構造でもありません。 「軍隊が戦っている」のではなく「国(あるいはその勢力が)が戦争をしている」と感じられるWeb小説は案外少なく、その点では今まで読んだ中で一番面白いと思っています。

  2. 2

    辺境の老騎士

    小説家になろう

    これを戦記物ランキングに入れるのは、少し反則かもしれません。それでも外せませんでした。 老騎士バルドが各地を旅し、土地ごとの人間、食べ物、風習、争いに触れていく。一つ一つは小さな出来事でも、それまで生きてきた年月や騎士として積み重ねてきた経験が判断の端々に出てくるのが非常に良いです。 特に好きなのは、世界が主人公のために用意されている感じがほとんどしないところ。バルドが来る前から人々には生活があり、去った後にもそれが続いていく。その積み重ねが、いつの間にか大きな歴史へ繋がっている。 戦争そのもの以上に「戦争が起こるような世界」を描いている作品として、この順位にしました。

  3. 3

    この残酷な世界への反乱

    小説家になろう

    タイトルに偽りなく、本当に残酷です。しかもミッドナイトノベルズ掲載なので、内容的にもかなり人を選びます。気軽に人へ勧められる作品ではありません。 ただ、この作品の残酷さは、単に読者を驚かせるために置かれているものではないと思っています。 人間が何をされれば世界そのものに反旗を翻すところまで行くのか。その過程を簡単な一事件で済ませず、これでもかというほど積み重ねていく。その結果として「魔王レイ」と「魔剣カムイ」が生まれるので、過激な展開にも物語上の因果がある。 読んでいてかなりしんどい。それでも先を読まされる。 同じ『魔剣カムイ』シリーズの『魔王の器』よりこちらを上に置いたのは、その「世界そのものに反乱する理由」の描き方が特に強く印象に残っているからです。

  4. 4

    ベルリク戦記

    小説家になろう

    「戦争を書くなら軍隊だけではなく、国家ごと戦争させろ」という要求に、かなり真正面から答えてくれる作品だと思っています。 軍隊同士がぶつかるだけではなく、総力戦体制を作り、兵を集め、動かし、補給し、外交を行い、異民族や異文化を抱えながら戦争そのものを拡大させていく。地図や戦図まで用意して、戦争を個人戦闘ではなく大きな構造として見せてくれるのが非常に好みです。 そして主人公自身が、別に読者の倫理観を代弁してくれる人間ではないのも良い。 戦争を題材にしながら最後は「主人公は正義でした」に逃げる作品は多いですが、これはもっと容赦がない。長大な作品ですが、それだけの規模でなければ描けない戦争を本当にやっている作品だと思います。 けっこう癖のある作品なので読み手を選ぶかとは思います。

  5. 5

    魔王の器

    小説家になろう

    最初だけを見ると、魔法の使えない不遇な少年、学園、貴族社会と、比較的よくあるファンタジーにも見えます。 ところが話が進むにつれ、貴族、皇族、軍、商業、人種問題、宗教などがどんどん絡み始め、個人の物語だったはずのものが国家規模の争いへ膨らんでいく。この広がり方が好きです。 特に、主人公が強くなれば全部解決、とはならないところが良い。軍を持つこと、支持者を増やすこと、貴族として振る舞うこと、敵を作らないこと、それぞれが別の問題として存在している。 『この残酷な世界への反乱』と同じ世界の物語ですが、こちらはより「権力を持ってしまった人間が、それをどう使うのか」という面白さが強い作品だと思っています。

  6. 6

    濁る瞳で何を願う ハイセルク戦記

    小説家になろう

    異世界転生ではありますが、「転生者だから戦争を有利に進められる」という話ではなく、まず一兵卒として戦場に放り込まれるのが良いです。 戦争では、正しい人間から生き残るわけでも、有能だから死なないわけでもない。隣にいた人間が死に、昨日までいた部隊が消え、それでも次の命令が来れば前へ行かなければならない。その兵士目線の戦場の嫌さが非常によく出ています。 主人公自身はかなり強くなりますが、それでも一人の強者が戦争全体をひっくり返す話にはならない。 私が個人無双系の戦記をあまり好まない中で、この作品を高く評価しているのはそこです。強い人間がいても、戦争は戦争のままなのが良い。

  7. 7

    オルクセン王国史 ~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~

    小説家になろう

    「オークがエルフの国を攻めました」で普通のファンタジーなら終わるところを、「そもそもなぜ攻めるのか」「国家として何を目的にしているのか」「その大軍をどう編成し、何を食わせ、どう運ぶのか」まで考え始める作品。 私が戦記物に求めているものを、非常に分かりやすい形でやってくれています。 戦争には兵士だけではなく、鉄道、食糧、軍制、産業、外交、民族問題が必要になる。兵站を含めたそうした要素を「設定資料」ではなく実際の戦争へ繋げているのが面白いです。 かなりミリタリー色が強いので万人向けとは思いませんが、「何万人もの軍隊が、なぜそこに存在できるのか」をちゃんと考えてくれる作品は、それだけで私にはかなり評価が高いです。

  8. 8

    兵站将校は休みたい!

    カクヨム

    まず文章が非常に読みやすい。説明が多い題材なのに重くならず、会話もちゃんと人間同士が話している感じがあります。 それ以上に好きなのが、兵站部門から見た軍隊の描写です。物資、人員、命令系統だけでなく、「嫌な上司」や「現場から見るとどう考えてもおかしい組織判断」が出てくる。この辺りが妙に生々しい。 戦場の不穏な雰囲気の描き方もかなり上手いと思います。 一方で、兵站部隊だけで殿を務めて、しかも戦死者なしで切り抜けるあたりなどは、さすがに少し都合が良すぎないかと思うところもありました。 それでも連載を追いたくなるくらい面白い。まだ物語の途中なので、この順位は今後かなり動く可能性があります。

  9. 9

    亡びの国の征服者 ~魔王は世界を征服するようです~

    小説家になろう

    タイトルだけ見ると派手な異世界征服物に見えますが、実際にはかなり地道です。 魔法も特殊能力もなく、転生者であることだけで戦場をひっくり返せるわけでもない。知識があっても、それを実現するためには人、金、技術、政治的立場が必要になる。 特に好きなのは、国が滅びようとしていることが単なる「主人公が活躍するためのイベント」ではなく、国内事情や周辺国との関係を含んだ大きな流れとして存在しているところです。 現代知識を出せば中世人が驚いて全部うまくいく、という転生物があまり好きではない私でも読めるのは、この作品が知識そのものより「その知識を現実にどう使える形にするか」をきちんと描いているからかもしれません。

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